【探究のプロセスを重視した授業と資質・能力について】
「ベネッセ主催 学校組織で取り組む『探究』の指導デザインを考える研究会 に参加して」
総合的な探究の時間を現任校で導入することについて検討中である。
これについての情報収集のために、ベネッセ主催の「学校組織で取り組む『探究』の指導デザインを考える研究会」に参加した。
OECD日本イノベーション教育ネットワーク事務局長や、
かえつ有明中・高等学校を始めとする『探究』の先進的な実践校の先生、そして生徒と卒業生による情報提供が行われた。
思いや姿勢と、実践事例について参考になった。
思いや姿勢としては、
理論をベースに“とことん生徒を伸ばすために生徒目線でサポートする”姿勢は共通している。
これはどのような学力の生徒に対しても、接し方として意識すべき姿勢だと思う。
そして、“楽しい”という内側から生じる感情に従った活動になっていること。
これは生徒にも教師にも当てはまり、人の内側の感情に従うことが「本当によいもの」を創造するために、より良い探究活動を展開するためには重要であることも確認できた。
実践事例としては、
実践校の教育理念や授業計画、身につける資質・能力、そして展開の事例については、現任校にとっても非常に参考になる。
ここでは感じたこと、考えをまとめる。
第一に、やはり学校としての教育理念・教育目標を今一度まとめ、整理する必要があると感じた。
どの実践校も、学校の教育活動を通して身につけさせたい力を丁寧にまとめている。
そして資質・能力として具体的な力(要素)を挙げ、各教科で単元ごとに、指導目標・評価基準として落とし込んでいる。ここまできて、初めて総合的な探究の時間が生きるし、各教科での指導が学校の教育目標に向かう形で実践される。言い換えれば、この学校としての教育理念・教育目標がこのようにまとめられていなければ、学校における教育活動は一つの目標に向かっておらず、チームとして機能しないため教員各々の“思い”で指導をすることになる。
これでは、十分な教育効果を期待することはできないばかりか、偶発的な教育機会を期待する、ただの“活動”になってしまいかねない。
『この重要性をプロジェクトのメンバーに伝える。』『学校教育目標・校訓・現場の教師として身につけさせたいと感じているもの・人として社会で生きるために重要なスキルについてっ情報を集め、考えとしてまとめる。』
第二に、チームの特性を理解した上で、目的からデザインすることの重要性を感じた。
教員どうしが価値観のレベルで対話し、それぞれの特性をお互いが理解する。
ここでは教員に「お互いを認め、現状を認めた上でそれぞれの特性を生かし合う」姿勢が問われる。
これは生徒に身につけさせたい力でもあるはずだが、実践しようと思うと難しさを感じる。
そしてすべての教育活動を「目的」からデザインしていく。この二つの姿勢を持てば、仕事量を減らしてもその中で最大限の教育効果を期待できる。逆をいえば現場にはこの姿勢が足りていない。もっと言えばリーダーシップをとるべき管理職や総括にこの視点を持たせなければならない。
現場にこの考えを浸透させてさらに考えを磨くために、『同年代や少し上の年代の同僚とこの話題で対話し、理解を深める。』
現任校での働きかけとして、『具体策に落とし込めるよう、管理職からこのことについて意見を聴いて、自分の意見を織り込ませて考えを整理させる。』
これらを実現させるために、特に高校の職員室では、“まじめに”教育について考える風習を根付かせていく必要があるだろう。『若手の教員に対して特に、そのことがかっこよくてわくわくする感覚を、現場で味わう機会をつくっていく(職員室の雑談から)。』
第三に、「問い」に迫っていくプロセスを教科指導の中で当たり前に味わえるような授業実践をすることの重要性を感じた。
これは“自分軸”で授業を受けることを意味する。
そもそも探究はこれの繰り返しで、そのプロセスや思考スキルを身につけさせることを目的とする。
そのような授業実践として、「質問づくり」を授業に取り入れて学んだ内容を関連付けてその質問の「解」をまとめ表現する課題を考えてきた。
今回は以下のような気づきを得ることができた。
・体験を重視することで生徒を惹きつける。
・脱正解の種を植えていく。答えのない活動や自らの考えをもつ活動、そして自らの問いをもつことに気づける活動を繰り返していく。
・問いを持てない生徒に「問い」とは何かを学ばせるために、『学び合い』の考えで「質問づくり」のじ授業を展開する。
・「研究テーマ」にできるように、生徒の問いに対して一つ一つ細かく問いかける。
『授業実践として計画する段階で、これらを参考にする。』