もし一介の若手教師が『教育』について追究し始めたら

関心のある事 ①生き方,夢について ②探究のプロセスを重視した授業と資質・能力について ③『学び合い』について ④総合的な「探究」の時間について (神奈川県立高校の理科教師 3年目。)

【探究のプロセスを重視した授業と資質・能力について】

「総合的な探究の時間の導入」

 

高校で資質・能力を育成する教科指導を実施するための、軸としての意味をもつ「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」として改訂されたことは、「探究」のプロセスを重視し、より資質・能力の育成へ意識を向けていることを物語っている。

 

県ではこの「総合的な探究の時間」がカリキュラムの軸となることを踏まえ、「総合的な探究の時間」を前倒しで導入するように学校に求めている。
学校は完全にパニックになり、「アクティブ・ラーニング」と同様に目をそらしているようにも感じる。

 

ただ、本当に学校の教育課程の中で生徒に資質・能力を身につけさせることを考えると、学校目標を踏まえた育成すべき資質・能力を明確にし、「総合的な探究の時間」と教科指導について検討するということが必須になることは言うまでもない。
カリキュラム・マネジメントも、育む資質・能力を明確にすることから始めるべきだろう。

 

現任校では、県から「コミュニティ・スクール」のパイロット校として指定されたことを踏まえ、
学校外の活動(インターンシップやボランティア活動など)を行う「学校外の学修」が必履修科目となっている。

これはかなり面白い取り組みで、生徒にとっては
学校外でリアルな学びができるこれまでにないチャンスになると思う。
まだまだ学校内では教師側にこの活動を受け入れる態勢ができていないが、今後も継続していくべき取り組みである。

 

ただ問題点として、この活動を通してどのような力を育み、どのような生徒を育てようという明確なビジョンが見られないことだ。


学校では一応、実社会の問題解決のために企画段階からかかわることで、生徒に自己肯定感や社会で必要な能力を育む、としているが、すべての受け入れ団体がこの趣旨を理解して生徒に実践の機会を提供しているわけではない。

お盆期間の人手不足を解消するための、無償で働き手を得られるチャンスと勘違いをしている受け入れ団体すらある。

 

このような、育みたい生徒の姿を受け入れ団体に理解してもらい、学校と地域が協力して生徒が実体験を通して学ぶ機会を提供するよう努めるのは重要だ。ただし以下のような課題がある。


①育むべき資質・能力が明確ではない、細分化されていないこと。
②生徒の中に探究したり問題に取り組む態度を育めていないこと。
③学校と地域が協力して、を学校がいいように使い、地域の団体に任せた偶発的な教育機会を狙っていること。

 

①についてだが、
現任校の学校教育目標は、「自己肯定感」と「コミュニケーション能力」の育成である。
確かに学校の生徒には適当な目標だと感じる。
しかし問題は、ただこれを掲げ、何となく活動させることで育成を目指すという「感覚」での指導になっていること。これはプロ集団による教育活動ではない。

この「自己肯定感」と「コミュニケーション能力」がどのような要素で構成され、どのように活動させることで身につくのかを明確にする必要がある。
このように能力を細分化し、そもそもそれって何なのかを明確にすることがまず第一歩である。

 

次に②と③だが、
②の態度も資質・能力のひとつ「問題を発見し解決する態度」として捉えると、
「問題発見・解決」とはどのようなことかという知識を与え、
どのように問題を発見し解決すればよいかということを生徒の中に高度化された知識として育む。
これが思考力・判断力・表現力等として、知識がさまざまな場面で活用できるようになることである。
そして、そのような活動のなかで問題発見・解決の活動に「手応え」を感じる場面を多くつくることで、それが「問題を発見し解決する態度」として育まれていく。

そのためには学校外での活動が大いに生かされるのだろうが、
どのように問題を発見し解決すればよいかという知識がなく、そのため高度化されていない状態で学校外の活動に臨んでも、「問題を発見し解決する能力」は身につかない。

 

この②と③を解決するために「総合的な探究の時間」を活用できるのではないか。

これは学校全体が組織で取り組むべき大きなプロジェクトになる。
その構成員としての自分は、
『探究活動の実践の事例を知り、現任校に適した形を考える。』
『上の①~③の課題を少しずつ周りの教員に広め相談し、解決する実践を学校としてまとめられるように仕掛ける(プロジェクト会議への出席、プロジェクト会議のメンバーへ声をかけ考えを聞き、話す)。』
『探究活動を教科で実施するための手法を確立していく。』