もし一介の若手教師が『教育』について追究し始めたら

関心のある事 ①生き方,夢について ②探究のプロセスを重視した授業と資質・能力について ③『学び合い』について ④総合的な「探究」の時間について (神奈川県立高校の理科教師 3年目。)

【生き方,夢について(教育)】

「やりたいことをやって生きていく」

 

人はいつだって、やりたいことをやって生きていくべきだと思う。
そっちのほうが間違いなくトガるし、世の中が面白くなるから。

しかしまだ、常識がない、普通じゃないと言われてしまうこともあるし、そう感じる人も少なくはない。
ただ逆に、世の中にはそうやって生き始めた人が、間違いなく増えている。そっちの方が、今の時代は生きやすい、と。

 

生徒にも常に言っている。やりたいことをとことんやりきる人生を送れ!と。
自分がやりたいと思うことをやって、幸せを感じる人生を送ってほしい。

 

そのために何ができるのかをいつも考えて生徒と接してきた。
これまでの進路指導は、たくさんある分野や進学する方法を紹介することがメインだった。

これは確かに大切だが、もっと重視すべきなのが「自分の幸せ」「やりたいと思うこと」は何かと自分に問うことを教えることだと思う。
そうして見えてきた自分の「幸せ」「やりたい」があって、初めて分野やその先の仕事の具体を紹介することが生きてくる。

 

進路支援グループの仕事は情報を提供することだ、と言われたことがある。確かにそうで、それで自分の進路を決められる人もいる。
でもそれは自分で考えられる人、考え方を知っている人。
それを知らない人は、ただ話を聞いて終わってしまう。心揺さぶる経験をしない限り。

だから十分ではない。そう思って自分の幸せを考えさせるワーク、価値観を見つめるワーク、価値観と仕事をつなぐワークを探してきて提供し、そしてその上で仕事の具体を紹介する指導を考えてきた。それを実践している最中だ。

 

それが、生徒がやりたいことを見つけながら幸せに生きていくことにつながると思っていた。


でもまだ甘く、やりたいことがわからないんだと訴える生徒に何もしてあげられていないと感じていた。


そもそも、自分を見つめたところで「やりたいこと」が見つかるのか。自分が半信半疑だからこそ、生徒もそれを信じきれないだろう。
そんな時この動画に出会った。

www.youtube.com

 

自分にとって「やりたいこと」というのが、「人生をかけたこと」だけだと偏りそうになっていたことにも気づいた。


「感情が揺れた時をもっと大事にして。」
「これ楽しいって思ったら、それをどうやって続けられるのかをすぐ考えればいい。悲しいとか辛いと思ったら、どうやってやめればいいかをすぐ考えればいい。」
「なんで自分は辛いって思ったんだろう、楽しいって思ったんだろうって考えることで、その先にやりたいことにつながる。」
「やりたいこととか目標を一つにに絞らなければならない、は捨てる。やりたいことは全部やる。」
「やりたいリストをつくり全部やると、忙しくなる。時間が埋まっていく。自然と知らないうちに取捨選択をし始める。そうすると知らないうちに自分のやりたいことに気づき始める。」

 

自分が興味を持ったら、それは「やりたいこと」なのだ。
ただ、「いやー無理かな」と思うのは、それをやる準備が自分にできていないから。

それは全然悪いことではなく、後でやるリストに入れておけばいい。

そうして、できそうな「やりたいこと」から少しずつやればいい。
でかいことを考える必要はない。「いま、この時の自分」から始めればいいんだ。いま、この時の自分にできそうなやりたいことから。

 

そのためにも、「~しなければならない」という呪縛から解いてあげる必要がある。
これは前から考えていて、そのために今の学校の枠組みの中でどう授業を変えるかを工夫してきた。自分の問いをもって学ぶ授業を実践するために、学んでいるんだった。


進路指導も同じで、

 

「こうしなきゃいけないっていう状況に置かれると、人って思考停止しちゃう。」
「将来の夢なんだ?って聞かれている状況を、一回そこから解放してあげる必要がある。」

 

これまで与えてきた考えるきっかけは大切だが、もっと大切なことがある。

 

子どもへの、大人の接し方。

 

「これをしなければならない。」「やりなさい。あなたのために。」
ではなく、
『「やりたいことがないと思うならそれでいい。」
と、いまの生徒一人ひとりを認めてあげる。』

 

そうして、
『「普段経験してたことで、ちょっとだけ感情が動いたとき、それがあなたにとって興味のあること。
それをやりたいことリストに入れておけばいい。その感情の動きに、いつも注目してごらん。」ということを伝えること。それを続けていく。できるだけ多くの生徒に。』
『やりたいことを実現するための力(やりたいことをやるための準備;多様なひとたちに力を借りる、一歩踏み出す、自分の課題を解決する方法を考える、行動に移す、考えるための技法)を教科指導や文化祭などの中で少しずつ養える環境をつくる実践をする。』

 

現状でできるのはこうした地道なこと。地に足をつけてそれを実践する。
しかし根本的に変えなければならないのは、「やらなければならないことをやる学校」を「やりたいと思うことをやる学校」にすること。
授業も進路指導も、今の実践が、多様化する学校にマッチしながら生かされると、信じてやる。